ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
◆深更の呼び出しに消え惑ふ

朝羽さんとの間に、秘密ができてしまった。

ホームパーティーの日から数日、彼は一条社長の魂胆については一切語らないし、私もその話を盗み聞きしてしまったことを打ち明けられずにいる。

おそらく朝羽さんは、私を不安にさせないために黙っていて、自分ひとりでなんとか解決しようとしているのだと思う。

彼を信じて、おとなしく待っていれば、約三ヶ月後には予定通り結婚式を上げられるかもしれない。

でも、朝羽さんのためには本当にそれでいいのかという迷いが、ずっと胸の中をぐるぐると旋回している。

式はベアティチュードで行う予定で、日取りや会場などの大まかなことはすでに決めてあり、そろそろ本格的に準備が始まってしまうというのに……。


休憩時間中、プランナーとの打ち合わせが入っている日をスケジュール帳で確認した私は、小さなため息をこぼしてそれをバッグにしまった。

午後の仕事を始め、来店した外国のお客様の対応を終えると、助けてくれていた梢さんが私に笑顔を向ける。


「初音ちゃん、英語上手くなってきたじゃない」

「本当ですか?」

「うん、スムーズに案内できてるし。霞さんとの特訓の成果ね」

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