ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「縁談が舞い込んできて、男性に縁のない私にはまたとないチャンスのような気がしました。早く子供を授かることができるかもしれないから」


本来なら好きな人を見つけて、恋人になって、結婚して……という段階を踏まなければいけない。

まだまだ焦らなくても大丈夫、と呑気に構えていたら、恋愛処女のままここまで来てしまった私にとっては、一体いつになるのやらという感じだ。

しかし、縁談を受ければその過程をスキップすることができる。運良く恋愛結婚できても、すぐに妊娠できるとは限らないし、早めに行動するのは決して悪いことではない。

霞浦社長も、朝羽さんに後継者を残してほしいから縁談を勧めたのだろう。私たちが結婚したら、子供を作るのは必須だということだ。


「ただ、子供ができても、親が愛し合っていなかったら可哀想ですよね。だから……」


朝羽さんをまっすぐ見つめ、たった今思いついた提案をしようと踏み切る。


「結婚したら、恋をするために努力しませんか? 私たち」


彼の綺麗な瞳が、わずかに見開かれた。

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