ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「どうして?」
「今ならまだ間に合います。朝羽さんには……本当に相応しい人と、一緒になってもらいたい」
一条社長が言っていたことと似たようなセリフが、自然と口をついて出た。その直後、私たちを取り巻く空気がぴんと張り詰める。
朝羽さんは、優しくて律儀な人だ。飛高家や、一度は想いが繋がった私を見捨てられず、このまま進めたほうがいいと考えているのかもしれない。
以前、予定より早くに籍を入れようかと言ったのも、朱華さんへの想いを無理やり断ち切ろうとしてのことだったのかもしれない。
朱華さんと結婚すれば、朝羽さんの夢の実現にも、きっとすぐに近づける。霞浦グループの未来にとっても、必ずプラスになる。
朝羽さんのことが好きだから、彼にとって最良の選択をしてほしい。
しばしの沈黙のあと、俯く私に、真剣で落ち着いた声が投げかけられる。
「俺は、決められているから初音と結婚するわけじゃない。自分の意志で、あなたを愛しているから一緒になりたいと思ってる」
本来なら嬉しいはずの言葉なのに、胸をえぐられるような感覚がした。
『愛してるよ』と、電話で朱華さんに告げていた声と重なってしまって。
「今ならまだ間に合います。朝羽さんには……本当に相応しい人と、一緒になってもらいたい」
一条社長が言っていたことと似たようなセリフが、自然と口をついて出た。その直後、私たちを取り巻く空気がぴんと張り詰める。
朝羽さんは、優しくて律儀な人だ。飛高家や、一度は想いが繋がった私を見捨てられず、このまま進めたほうがいいと考えているのかもしれない。
以前、予定より早くに籍を入れようかと言ったのも、朱華さんへの想いを無理やり断ち切ろうとしてのことだったのかもしれない。
朱華さんと結婚すれば、朝羽さんの夢の実現にも、きっとすぐに近づける。霞浦グループの未来にとっても、必ずプラスになる。
朝羽さんのことが好きだから、彼にとって最良の選択をしてほしい。
しばしの沈黙のあと、俯く私に、真剣で落ち着いた声が投げかけられる。
「俺は、決められているから初音と結婚するわけじゃない。自分の意志で、あなたを愛しているから一緒になりたいと思ってる」
本来なら嬉しいはずの言葉なのに、胸をえぐられるような感覚がした。
『愛してるよ』と、電話で朱華さんに告げていた声と重なってしまって。