ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
本当にそう思ってくれているの? だとしたら、なんで朱華さんにも同じことを言っていたの?

彼の言葉をどうしても素直に受け止めることができず、俯いたままでいると、重く暗然とした声で問われる。


「信じられない? それとも、俺を嫌いになった?」

「っ──」


嫌いになんてなるわけがない。どんなことがあっても、あなたのことは好きにしかなれない。

思わずそう返したくなって顔を上げた。しかし、切なさが滲む表情の朝羽さんと視線を交じらせ、開きかけた唇を噛みしめる。

彼には遠慮なく決断してほしいのに、ここで私が好きだと言ったら、その妨げになってしまいそうでためらわれた。

でも、『あなたを愛しているから一緒になりたい』というひとことを、信じたがっている自分もいる。気持ちがこんがらがって、どうしたらいいのかわからない。


「……ごめんなさい。少しだけ、時間をください……」


結局、泣きそうになりながら緩めた唇からこぼれ出たのは、そんなどっちつかずの言葉。

朝羽さんはなにも言わず、やりきれなさを感じる小さなため息を漏らすだけ。爽やかなはずの朝の食卓は、重苦しい空気に包まれていた。


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