ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
トクン、と優しい音が胸の奥で響いた。彼女の飾らない言葉は、地面に落ちる雨だれのように、俺の心に沁み込んでいく。

生涯のパートナーが俺でよかったと思ってくれていることが、こんなにも嬉しいとは。

初音は目を閉じて、ぱたりとベッドに倒れた。その無防備な姿を見下ろし、そっと髪を撫でる。

そのときふいに、以前、初音に言った自分の発言を思い出した。


『俺たちの目標は愛し合うことだろ。それを達成するためにはイメージするんだ。あなたが俺を、俺があなたを愛していると』


今、不思議とそのイメージがはっきりと頭に浮かんでいる。それを、なんとなく言葉にしてみたくなった。


「好きだよ……初音」


髪から頬に手を滑らせ、彼女に伝えるように囁いた。

その瞬間、じわじわと、これまでにないほどもどかしくて温かい感情が沸き起こってくる。その正体を、なぜだか自然と確信することができた。

あぁ、これが“愛おしい”という感覚なのか──。

今、俺の口から出たものはイメージトレーニングでもデタラメでもなく、本心なのだ。俺は、本当に恋に落ちたらしい。

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