ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「まさか、承諾はしていませんよね?」
「当たり前じゃないか。勝手にそんなことはしない」
きっぱりと即答した父に、ひとまず胸を撫で下ろす。
実はこの父親は、事業拡大のためとあらば、利用できるものは利用してきた男なのだ。
人当たりがいいため、周りからは温和なイメージを持たれて慕われていたり、信頼も厚いが、陰では狡猾だったりする。
だから今回も、俺の意志なんて関係なく決めてしまったかもしれないと懸念したが、さすがに留まったようだ。
「いつも利益ばかりを優先しているあなたにしては、珍しく殊勝じゃないですか」
腕組みしてかなり嫌味な言葉を投げつけると、彼はバツが悪くなったように頭を掻いて言う。
「それは一昔前の話だ。利益しか考えていないなら、そもそも飛高家と婚約させたりなんてしないさ」
確かに、世話になった人が困っていても、こちらにはさほど得はない相手に手を差し伸べるようなことは、以前の父は絶対にしなかっただろう。
この人もだいぶ丸くなったんだな、と少々感心していると。
「だが、お前は良くも悪くも律儀すぎる。もっとずる賢くなったほうがいいぞ」
「当たり前じゃないか。勝手にそんなことはしない」
きっぱりと即答した父に、ひとまず胸を撫で下ろす。
実はこの父親は、事業拡大のためとあらば、利用できるものは利用してきた男なのだ。
人当たりがいいため、周りからは温和なイメージを持たれて慕われていたり、信頼も厚いが、陰では狡猾だったりする。
だから今回も、俺の意志なんて関係なく決めてしまったかもしれないと懸念したが、さすがに留まったようだ。
「いつも利益ばかりを優先しているあなたにしては、珍しく殊勝じゃないですか」
腕組みしてかなり嫌味な言葉を投げつけると、彼はバツが悪くなったように頭を掻いて言う。
「それは一昔前の話だ。利益しか考えていないなら、そもそも飛高家と婚約させたりなんてしないさ」
確かに、世話になった人が困っていても、こちらにはさほど得はない相手に手を差し伸べるようなことは、以前の父は絶対にしなかっただろう。
この人もだいぶ丸くなったんだな、と少々感心していると。
「だが、お前は良くも悪くも律儀すぎる。もっとずる賢くなったほうがいいぞ」