ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
これまで世間ではいろいろと噂されているようだが、俺が知っている限り、今現在で朱華が恋仲にある男はひとりだけ。一条社長もそれを認めてくれたらいいのだが。

頭の中には、つい昨日、同僚に教えられて見てみた週刊誌の内容が浮かぶ。


「そういえば、最近の記事にあったホテルってベアティチュードのことだろ？　今のところパパラッチは張ってなさそうだが、気をつけてくれよ」

『はい。そっちのほうもごめんなさい』


今度は叱られた子供のように謝った。

ホテルの質にも関わることだから十分注意してもらわなければ、と思っていると、彼女はしっかりとした声で力強く言い切る。


『でも、朝羽たちにもう迷惑はかけないわ。私にも考えがあるの』


朱華の考えか……正直不安だ。度胸はあるが、決して要領がいいほうではないし、知能レベルもおそらく中の下くらいだし。一体なにをしようというのか。


「大丈夫か？　朱華のことだから心配だ」

『なにそれ、嫌味？』


不満げな声が返ってきて、俺は小さな笑いを漏らした。

失礼なことを言う俺に朱華がツッコミを入れるやり取りは、昔から変わらない。彼女がどれだけ有名になっても、俺たちの関係はずっとこのままだろう。

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