ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
もしも初音が一条社長の話を聞いてしまっていたとしたら、心穏やかではいられないだろう。俺にも言い出せずに、ひとりで悩ませてしまっているかもしれない。
「……ごめんな、初音」
ついぽつりとこぼして、そっと髪を撫でた。
この子を不安になんてさせたくない。一日も早く、問題を解決したい。
なるべく波風立てずに一条社長に考えを変えてもらうための策を練りながら、愛おしいぬくもりの隣で眠りについた。
ところが、翌朝。
「……式、待ったほうがいいんじゃないですかね」
思いつめたような顔をした初音の口から飛び出た、予想外のひとことに、俺は唖然とした。
突然なにを言い出すんだ? 今は少々問題があるとしても、結婚を先延ばしにするつもりなどないのに。
戸惑う俺に、彼女は苦しげな表情のまま続ける。
「今ならまだ間に合います。朝羽さんには……本当に相応しい人と、一緒になってもらいたい」
それを聞き、やはり一条社長の話を耳にしてしまったのだろうと確信した。そして、俺と朱華が結婚したほうがいいと思っているのであろうことも。
「……ごめんな、初音」
ついぽつりとこぼして、そっと髪を撫でた。
この子を不安になんてさせたくない。一日も早く、問題を解決したい。
なるべく波風立てずに一条社長に考えを変えてもらうための策を練りながら、愛おしいぬくもりの隣で眠りについた。
ところが、翌朝。
「……式、待ったほうがいいんじゃないですかね」
思いつめたような顔をした初音の口から飛び出た、予想外のひとことに、俺は唖然とした。
突然なにを言い出すんだ? 今は少々問題があるとしても、結婚を先延ばしにするつもりなどないのに。
戸惑う俺に、彼女は苦しげな表情のまま続ける。
「今ならまだ間に合います。朝羽さんには……本当に相応しい人と、一緒になってもらいたい」
それを聞き、やはり一条社長の話を耳にしてしまったのだろうと確信した。そして、俺と朱華が結婚したほうがいいと思っているのであろうことも。