ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「ありがとうございます。お役に立つことができて光栄です。飛高さんも喜びますよ」


笑顔の花を咲かせる初音を想像して言うと、大崎さんはなにかを思い出したように「そうそう」と話し出す。


「飛高さん、とても素敵な方ですよね。父へのプレゼントを選ぶとき、ちょっと感動したんです」


どんなやり取りがあったのだろう、とキョトンとする俺に、彼女が続ける。


「“かしづき”っていうお酒を勧められて、迷わずそれにしたんですけど、霞浦さんは意味をご存じですか?」


問いかけられ、しばし考えを巡らせる。飛高酒蔵の商品については個人的に興味があって調べたが、確かこれも古語だったはず。


「……手厚く世話をする、という意味の“傅(かしづ)き”でしょうか?」

「すごい、正解! そうやって大事に手間暇かけて作ったお酒って意味で、名づけたものらしいんです」


今初めて由来を聞いたが、なんとなくそういう意味なのだろうと想像はしていた。当たりだったな、と思いながら頷く。


「飛高さんは、『このかしづきのように、“ここまで大切に育ててくれてありがとう”という意味を込めて贈られるのも、素敵だと思います』って提案してくれて。そういう解釈ができる飛高さんが素敵ですよね」

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