ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「いえ、そんな、悪いですよ!」
「俺も今日休みで、駅方面に向かうつもりだったから遠慮しないで。それに、親友の奥さんなんだし」
“親友の奥さん”というひとことで、私はつい押し黙ってしまった。今の私には、少々胸に刺さる……。
その隙に、大和さんは素早く車を降り、助手席のドアを開けてくれる。ここまでされると断れず、ご厚意に甘えることにした。
甘く爽やかないい香りがする車内に乗り込むと、不思議な緊張感に包まれ、肩をすくめる。
「すみません、本当に」
「いいんだって。それより、なにかあった? 浮かない顔してるけど」
静かに車を発進させる大和さんは、砕けた口調になってそんなふうに言ってきた。
彼の観察眼のすごさに、私は驚きつつ感心する。
「大和さんってすごいですね。ちょっと見ただけでわかるなんて」
「職業柄かな。少なくとも、朝羽よりはそういうことに気づくと思う。あいつほんと疎いから」
含み笑いして言う彼からは、やっぱり朝羽さんと仲がいいことが窺える。
あの人は昔から疎いんだなと思うとおかしくて、私も笑ってしまった。しかし……。
「俺も今日休みで、駅方面に向かうつもりだったから遠慮しないで。それに、親友の奥さんなんだし」
“親友の奥さん”というひとことで、私はつい押し黙ってしまった。今の私には、少々胸に刺さる……。
その隙に、大和さんは素早く車を降り、助手席のドアを開けてくれる。ここまでされると断れず、ご厚意に甘えることにした。
甘く爽やかないい香りがする車内に乗り込むと、不思議な緊張感に包まれ、肩をすくめる。
「すみません、本当に」
「いいんだって。それより、なにかあった? 浮かない顔してるけど」
静かに車を発進させる大和さんは、砕けた口調になってそんなふうに言ってきた。
彼の観察眼のすごさに、私は驚きつつ感心する。
「大和さんってすごいですね。ちょっと見ただけでわかるなんて」
「職業柄かな。少なくとも、朝羽よりはそういうことに気づくと思う。あいつほんと疎いから」
含み笑いして言う彼からは、やっぱり朝羽さんと仲がいいことが窺える。
あの人は昔から疎いんだなと思うとおかしくて、私も笑ってしまった。しかし……。