ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「朝羽と一条朱華のことで悩んでる?」


突然核心を突かれ、私はギョッとして運転席の彼に顔を向ける。


「なんでわかるんですか!?」

「すごいでしょ、俺」


したり顔をする大和さん。この人はエスパーですか。

呆気に取られたものの、「なんて、ふたりが元恋人同士じゃないかって噂は俺にも届いてるから、もしかしたらそうかなと思ってさ」と、すぐに明かしてくれた。

そうか、噂は結構広まっているみたいだし、そうでなくても朝羽さんの親友なら知っていて当然か。

納得した私は、苦笑しながら頷いた。


「本人にはっきり聞けばいいのに」

「そうですよね。でも……怖いです、今は」


しっかり話し合わなければいけないことはわかっているけれど、朝羽さんの本心を聞いて、終わりを告げられてしまったらと思うと、勇気が出ない。

恋をして初めて、自分がどれほど憶病な人間なのかということを実感した。

俯いていると、大和さんはまっすぐ前を見たまま言う。


「なにも心配いらないと思うけどな、俺は」

「どうしてですか?」

「朝羽が女の子のことであれこれ考えてるの、初音ちゃんが初めてだから」

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