ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「とにかく、君のことばっかりなんだよ、朝羽の恋愛脳は。他の女が入る余地なんかない」


ドキン、と心臓が揺れた。

大和さんがこんなふうに言い切るということは、朝羽さんの本当に大切な人は、私……? 昨日の朱華さんとの会話は、なにか理由があってのこと?

でも、『愛してるよ』だなんて言葉が出てくる流れはそうそうないような……と、疑念を振り払えずにいると。


「まぁ、たぶんすぐに解決するだろうから、大丈夫だよ」


ハンドルを切る彼の口から、他人事のようでいて、なにかを確信しているようにも感じる言葉が出た。

なんとなく気になったものの、車はちょうど駅に到着する。結局私は些細な引っかかりを残したまま、お礼を言って車を降りた。


大和さんと別れ、チケットを購入して新幹線に乗り込むと、寝不足のせいですぐに睡魔がやってくる。

おかげで地元の駅に着くまでの約一時間半は、あっという間に過ぎていた。

緑が豊かで、夏は避暑地として観光に訪れる人も多い地に降り立つと、東京とは違う涼しさの風がそよいでいる。それだけでも、気分がリフレッシュする。

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