ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「なんで真琴って全部お見通しなの~」

「さあね、あんたのこと好きだからじゃない?」

「うぇ~」


さらっと嬉しいことを口にしてくれちゃうから、余計涙が止まらなくなる。真琴が男だったら確実に惚れてるよ。

泣きじゃくる私の肩を抱く男前な親友は、なにげない調子で補足する。


「あぁ、あとシローさんのアホな考え方も好きだけどね」


そのひとことで、目をぱちくりさせる兄。そして、「時々素直になるまこっちゃん、可愛すぎねぇ?」と真顔で言う。

真琴はまた頬を赤く染め、私は泣きながら笑った。

ふたりのおかげで、朝羽さんと話す決心がついた。

どんな真実でも受け止めよう。ボタンをかけ違えているのなら直さなければ。



お昼ご飯を食べ終えてから、私はひとり二階の自室であるものを探していた。

本棚の奥から取り出したのは、色褪せた手帳サイズのシンプルなノート。祖母の日記だ。

これを開くのは何年ぶりだろうか。だいぶ長いこと本棚に眠ったままになっていたが、今久しぶりに読んでみたくなったのだ。

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