ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
私を見下ろす表情は普段通りクールで、電話では穏やかに感じたけれど実は怒っているのかもしれない、と不安が過ぎる。
「朝羽さん……あの、今朝は本当に──」
気まずさを感じつつ、とりあえずもう一度謝ろうとした瞬間、ぐっと手を握られた。驚いて言葉が喉に詰まる。
「時間がない。急ごう」
「えっ!? ちょっ……!」
戸惑う私に構わず、彼は手を引いてどんどん歩き出す。
なに? どこに行くの? ほんのちょっとだけ、感動の再会を果たせるかも、という乙女な期待もあったのだけど、やっぱりそんな展開にはならなかったわ。
困惑したまま駅の外へ連れ出されると、駐車場に停めてあった朝羽さんの愛車に乗り込んだ。どこかに向かってさっそく発進する中、彼はようやく事情を教えてくれる。
「急きょ決まったんだが、これから一条親子と食事をする。忙しいふたりだから、今夜を逃したら当分時間が取れないらしい」
「えぇっ……私も一緒に、ですか!?」
「あぁ、初音にはその日本酒の説明をしてもらいたい。一条社長は大の日本酒好きだから、きっと気に入るはずだ」
これからのことを聞いてギョッとしつつ、抱えた日本酒の瓶を見下ろす。
「朝羽さん……あの、今朝は本当に──」
気まずさを感じつつ、とりあえずもう一度謝ろうとした瞬間、ぐっと手を握られた。驚いて言葉が喉に詰まる。
「時間がない。急ごう」
「えっ!? ちょっ……!」
戸惑う私に構わず、彼は手を引いてどんどん歩き出す。
なに? どこに行くの? ほんのちょっとだけ、感動の再会を果たせるかも、という乙女な期待もあったのだけど、やっぱりそんな展開にはならなかったわ。
困惑したまま駅の外へ連れ出されると、駐車場に停めてあった朝羽さんの愛車に乗り込んだ。どこかに向かってさっそく発進する中、彼はようやく事情を教えてくれる。
「急きょ決まったんだが、これから一条親子と食事をする。忙しいふたりだから、今夜を逃したら当分時間が取れないらしい」
「えぇっ……私も一緒に、ですか!?」
「あぁ、初音にはその日本酒の説明をしてもらいたい。一条社長は大の日本酒好きだから、きっと気に入るはずだ」
これからのことを聞いてギョッとしつつ、抱えた日本酒の瓶を見下ろす。