ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
食事会がおひらきになったあと、私と朝羽さんはお座敷から見えていた庭園を少し散歩することにした。
上品にライトアップされた、紅色や紫色の遅咲きのつつじがとても美しい。まさに“さきはひ”を感じながら、ふたり歩幅を合わせてゆっくりと歩く。
いろいろと伝えたいことはあるものの、まず私の口から出るのはこれだ。
「まさか大和さんと朱華さんが付き合ってたとは……びっくりしました」
「言ってなくてごめんな。俺との繋がりでだいぶ前から顔を合わせてて、付き合い始めて二年くらいになる」
「結構長い付き合いなんですね」
にもかかわらず、誰にもバレていないことがすごい。きっと、見当違いのゴシップと、朝羽さんのことがカモフラージュになっていたのだろう。
でも、とにかく一条社長に交際を認めてもらえてよかった。私たちのことも納得してもらえたし。
穏やかな気持ちで、心地よい夜風で髪を揺らす私に、朝羽さんは申し訳なさそうに軽く頭を下げる。
「いろいろと黙っていたせいで悩ませてしまって、本当に悪かった」
「いえ、いいんですよ! 今回のことで、自分がどれだけ憶病で、ズルい人間かっていうのがわかりましたし」
真琴にズバリ指摘された昼間のことを思い出し、苦笑いした。