ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
瞳のふちに溜まった涙は、いくつもの雫になってこぼれ落ちた。

この人は、生半可な気持ちで結婚を決めたわけではなかったのだ。お見合いのときからずっと、真面目で誠実に向き合ってくれている。

そんな彼の幸せを、私がいることでもたらせてあげられるのなら、遠慮なくそばにいよう。

朝羽さんは、頬を濡らす私を優しげな瞳に映し続ける。そして、「最終確認」と呟くと、私の左手を取り、両手で包み込むように重ねる。

それはまるで、初めて出会ったあの日を再現しているようで──。


「私と、結婚してくださいますか?」


二回目のプロポーズは、確かな愛が込められているのをひしひしと感じ、同じセリフでも何倍も嬉しかった。

くしゃくしゃの泣き顔で、「よろしく、お願いします」と答えた直後、力強い腕でしっかりと抱き寄せられた。


相思相愛の意味を初めてちゃんと理解できたように思う今、私たちの新たな目標は、家族になって、幸せな人生を送ること。

朝羽さんとなら、どんな難しいことでも実現できる気がした。


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