ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
幸せな余韻に浸りながら、ベッドの中で裸のまま朝羽さんにくっついていると、私の髪を撫でる彼がなにげなく話し出す。


「……自分に妻がいて、子供がいる未来なんて、少し前までは想像できなかった。でも今は、はっきり見えるんだ。可愛い子供と初音が、同じ顔して笑ってるところが」


彼の頭に未来の映像が浮かんでいるのだと思うと、嬉しさで胸がいっぱいになる。


「いくつになっても、一緒に笑い合っていましょうね」


そう言うと、瞳に降りかかる乱れた髪もセクシーな彼が柔らかく微笑み、お互いに唇を寄せ合った。

甘いキスをして、自分たちが年老いたときのことまで想像しながらまどろみ始めていたとき、ふと大事なことを思い出した。

新幹線の中で読んでいた、祖母の日記。あれには重大な事実が隠されているのかもしれないんだった。


「ねぇ、朝羽さ──」


少し身体を起こして話しかけようとしたものの、彼はすでに寝息を立てていて、私は言葉を飲み込んだ。

相変わらずの寝つきのよさにクスッと笑い、綺麗な寝顔にもう一度キスを落とす。

このことは明日になったら話そう。

ポーカーフェイスの彼でもきっと驚くだろうと想像しながら、私も穏やかな眠りについた。




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