ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜

◆老いらくの慕情、結ばれる縁

祖母の日記を改めて読んだ私は、狐に摘まれたような気分になった。

前回読んだのはもう何年も前だったため記憶が曖昧で、思い違いをしていたり、見落としていた部分が多々あったのだ。


【あなたが幸せならば、私も心から幸せなのです。私たちが別離を選んだことは、正しかったのだと思います】


祖母の初恋の人が、別の女性と仲良く暮らしていると知ったときのことが書かれていた部分。

ここまでで終わっていたかと思いきや、実は裏のページに続きがあった。


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　あなたの幸せを純粋に願えるようになったのは、私も今が幸せだからです。

　夫はなによりも私を大切に想い、私もまた、同じように彼を愛すようになりました。
　おそらく、思い初めたあなた以上に。

　私たちは別離を選んだことで、お互いに本当の運命の相手に巡り会えたのでしょう。

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祖母が、初恋の人の幸せを嫉妬することも羨むこともなく喜べたのは、その人への未練はまったくなく、祖父を深く愛していたからだったのだ。