ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
小学校の頃からの付き合いである同い年の彼女は、ストレートロングの黒髪とはっきりした顔立ちで、誰が見ても美人と言うだろう。

ただ、サバサバした性格であまり笑わないため、近寄りがたく思われがちだったりする。

本当はとても気さくだし、人のことを気にかけてくれる優しい彼女が、私は大好きだ。

そんな真琴は、私の左手の薬指を眺めてしみじみと言う。


「本当にしちゃったんだね、婚約」


生酒とホタテで幸せいっぱいになっていた私の脳が、そのひとことで現実に戻る。

つい先日の結納でいただいたダイヤの指輪を私も一瞥し、落ち着いた笑みを浮かべて「うん」と頷いた。

真琴は私が結婚することを特に反対したりはせず、ただ控えめに心配してくれている。一番嘆いているのは、今も“婚約”と聞いてカウンターに突っ伏している兄だ。

昔からずっと私を本当の妹として、いや、たぶんそれ以上に大事にしてくれているから、縁談が持ち上がったときは鬼のような形相で断固反対していて、宥めるのに一苦労だった。


「“こんにゃく”と聞き間違えてたらどれだけよかったことか……」

「シスコンから卒業するいい機会じゃん、シローさん」

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