ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
このことに気づいてからもう一度日記を読み返すと、私は大きな勘違いをしていたことに気づいた。
初恋の人に向けて綴っていたものだと思い込んでいた数々の思い出は、実は祖父とのものだったのだと。
初めてのデートも、仲違いをしたことも、触れられなくてもどかしい思いをしたことも。
すべて祖父との出来事だったのだとわかった瞬間、胸が温かくなって安堵した。政略結婚でもふたりが心底愛し合っていてくれて、やはり嬉しかったから。
さらに、驚くべきものを目にした。
日記には、セピア色の古い写真が一枚挟まれていて、並んで立つ若かりし頃の祖母と祖父が映っている。
それは前も見た記憶があるのだけれど、なにげなく裏返してみて、文字が書いてあることに初めて気づき、目を疑った。
写真を撮ったであろう日にちと、“お幸せに”というメッセージ。
そのあとに達筆な字で、“霞”と、書かれていたのだ。
これを書いたのは、写真を撮って祖母にあげた人だろうか。だとすれば、この“霞さん”は、まさか──。
信じられない気持ちで朝羽さんに話したところ、お祖父様かもしれないと意見が一致し、お見舞いに行ったときに聞いてみようということになった。
初恋の人に向けて綴っていたものだと思い込んでいた数々の思い出は、実は祖父とのものだったのだと。
初めてのデートも、仲違いをしたことも、触れられなくてもどかしい思いをしたことも。
すべて祖父との出来事だったのだとわかった瞬間、胸が温かくなって安堵した。政略結婚でもふたりが心底愛し合っていてくれて、やはり嬉しかったから。
さらに、驚くべきものを目にした。
日記には、セピア色の古い写真が一枚挟まれていて、並んで立つ若かりし頃の祖母と祖父が映っている。
それは前も見た記憶があるのだけれど、なにげなく裏返してみて、文字が書いてあることに初めて気づき、目を疑った。
写真を撮ったであろう日にちと、“お幸せに”というメッセージ。
そのあとに達筆な字で、“霞”と、書かれていたのだ。
これを書いたのは、写真を撮って祖母にあげた人だろうか。だとすれば、この“霞さん”は、まさか──。
信じられない気持ちで朝羽さんに話したところ、お祖父様かもしれないと意見が一致し、お見舞いに行ったときに聞いてみようということになった。