ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
そうして、式の準備の合間を縫って時間を作った五月下旬の今日、朝羽さんの実家近くにある総合病院を訪れた。
緑豊かで静かな場所に建つ綺麗な病院で、お祖父様がいる緩和ケア病棟は三階にある。
外に庭園もあり、日当たりがいいその病棟の特別個室の前に来ると、朝羽さんがドアをノックした。
「はい」と返事が聞こえ、ドアを開ければ、ソファやテーブルを備えたホテルのように上質な部屋が広がる。その壁側にあるベッドに、お祖父様が座っていた。
綺麗なロマンスグレーの、痩せてはいるが品のよい紳士、という雰囲気を醸し出している。彼は私たちを見て目を丸くした。
「おや、朝羽じゃないか。久しぶりだな」
「なかなか来られなくてすみません。具合はどうですか?」
「だいぶいいよ。忙しいところ、わざわざありがとう」
あまり喜怒哀楽を表さない人だとお義母様が言っていた通り、お祖父様はにこりとは笑わない。でも、嬉しそうにしていることはなんとなく感じ取れた。
そんな彼の視線が私に向けられる。朝羽さんが「婚約者の初音です」と紹介してくれて、私は笑顔で頭を下げた。
緑豊かで静かな場所に建つ綺麗な病院で、お祖父様がいる緩和ケア病棟は三階にある。
外に庭園もあり、日当たりがいいその病棟の特別個室の前に来ると、朝羽さんがドアをノックした。
「はい」と返事が聞こえ、ドアを開ければ、ソファやテーブルを備えたホテルのように上質な部屋が広がる。その壁側にあるベッドに、お祖父様が座っていた。
綺麗なロマンスグレーの、痩せてはいるが品のよい紳士、という雰囲気を醸し出している。彼は私たちを見て目を丸くした。
「おや、朝羽じゃないか。久しぶりだな」
「なかなか来られなくてすみません。具合はどうですか?」
「だいぶいいよ。忙しいところ、わざわざありがとう」
あまり喜怒哀楽を表さない人だとお義母様が言っていた通り、お祖父様はにこりとは笑わない。でも、嬉しそうにしていることはなんとなく感じ取れた。
そんな彼の視線が私に向けられる。朝羽さんが「婚約者の初音です」と紹介してくれて、私は笑顔で頭を下げた。