ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
口を尖らせるお義母様が容易に想像できて、なんだかちょっぴり和む。

お祖父様は意地悪っぽく口角を上げ、朝羽さんの説明に頷いた。


「そう、だから私が息子に伝えておいてくれと言ったんだ。『朝羽たちを無理やり引き裂くようなことをしたら、霞浦の財産はびた一文やらんぞ』とな」

「父から一条社長に断りを入れていたのは意外だと思っていたが、そういうことか」


朝羽さんは腕を組み、呆れた調子で納得していた。

どうやら、お義父様が私たちの味方になってくれたのには、お祖父様が少なからず関係していたらしい。

でも、一条社長と話しているときから渋っていたし、決して財産が惜しいというだけで断ったわけではないだろう。

お義父様が昔は狡猾な人だったのだとあとから聞き、驚いたことを頭の片隅で蘇らせていると、お祖父様が祖母との思い出話に戻す。


「路子さんが幸せになることを願って、当時はまだ珍しかったカメラでこの写真を撮って渡したんだ。お相手の飛高さんには半ば強引に会わせてもらったんだが、とても人がよさそうで、よかったと思うと同時に悔しかったなぁ」


切なげな笑みを浮かべる彼は、眺めていた写真から目線を上げる。

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