ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
挙式の時間が近づいてきた。
綿帽子を被った私は朝羽さんの隣に並び、裾を引きずらないように白無垢の褄を持って、伝統工芸品が美しい回廊をゆっくりと歩く。
雅楽の演奏に導かれて神前へと向かうこの厳かな花嫁行列には、家族や真琴だけでなく、大石さんや梢さん、大和さんも参列してくれている。
お世話になった皆に感謝しながら、私はお見合いのときと同様、祖母の日記を脳裏に蘇らせていた。
【私は今日、お嫁にゆきます。思い初めたあなたのことは、一生忘れません】
彼女が結婚するときの気持ちを綴ったこの日記にも、実は続きがある。
挟まれていたふたりの写真で、次のページに書かれた続きが隠れていて、私はここでも大事な部分を見逃してしまっていた。
それに気づいたとき、私と朝羽さんは数々の不思議な縁(えにし)で結ばれていて、何度も奇跡が起こっていたことを知ったのだ。