ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
いろいろな角度から指輪を愛でていると、じっとこちらを見つめていた朝羽さんも、少し表情を緩める。


「……異性として見られていないはずがないよな」

「はい?」


ボソッとこぼされた独り言がよく聞き取れなかったものの、彼は“なんでもない”というように小さく首を振る。


「いえ、よかったです。タンスの肥やしにはしてほしくなくて、普段使いできるデザインを選んだので」

「あぁ、そうだったんですね」


意図を知り、納得して頷く私を、冷たい風にふわりとなびく彼の前髪の隙間から、宝石のように美しい瞳が捉える。


「できるだけつけていてください。他の男性に狙われないように」


思わぬ注意をされ、一瞬ドキリとした。なんだか朝羽さんに独占されているみたいに感じて。

でも彼はただ、自分の妻になる人に浮気などされたらたまらないから、注意しているだけだろう。というかまず、私に言い寄る男性が現れるとは思えない。


「前も言ったじゃないですか。私、非モテ女ですよ? そんな心配はいりません」


自虐しつつ明るく笑い、もう一度薬指に目を落とす。


「でも、ずっとつけますね」


この指輪の重みで妻になるのだという自覚を持てるから、彼の言う通り、できる限り身につけていよう。

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