ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「……バレンタインなんてくだらない」
「え」
変わらず無表情の彼の口から放たれた素っ気ないひとことで、固まる私。腕を組んだ彼は、少々棘のある口調でこう続ける。
「あれはチョコレート会社の陰謀でしょう。義理チョコってなんですか。なぜ好きでもない相手からチョコをもらい、不本意なのにお返しをしなければならないんですか」
「ご、ごもっともです……」
確かに、バレンタインというのは気持ちを伝えるいいチャンスである反面、面倒な行事でもある。
モテる男性は大変だろうし、逆に女性も、ただの付き合いで上司にあげなければいけない風潮になっていたりもするし。
それは共感しますけれども。このチョコはどうしたらよいのやら……と、微妙な笑みを浮かべ、引っ込みがつかなくなってしまった手に困っていたときだった。
「そう、思っていました。これまで」
棘がなくなった声がすると共に、ふっと手が軽くなった。
チョコレートを受け取ってくれた彼を見上げると、長いまつ毛を伏せて手元を見つめている。
「今は、素直に嬉しいです。なぜでしょうね……初音さんは特別だ」
「え」
変わらず無表情の彼の口から放たれた素っ気ないひとことで、固まる私。腕を組んだ彼は、少々棘のある口調でこう続ける。
「あれはチョコレート会社の陰謀でしょう。義理チョコってなんですか。なぜ好きでもない相手からチョコをもらい、不本意なのにお返しをしなければならないんですか」
「ご、ごもっともです……」
確かに、バレンタインというのは気持ちを伝えるいいチャンスである反面、面倒な行事でもある。
モテる男性は大変だろうし、逆に女性も、ただの付き合いで上司にあげなければいけない風潮になっていたりもするし。
それは共感しますけれども。このチョコはどうしたらよいのやら……と、微妙な笑みを浮かべ、引っ込みがつかなくなってしまった手に困っていたときだった。
「そう、思っていました。これまで」
棘がなくなった声がすると共に、ふっと手が軽くなった。
チョコレートを受け取ってくれた彼を見上げると、長いまつ毛を伏せて手元を見つめている。
「今は、素直に嬉しいです。なぜでしょうね……初音さんは特別だ」