ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
さっそく来月初めから、朝羽さんが総支配人を務めるホテル内のショップで働くことに決まったため、今月末には引っ越さなければいけない。
私が持っていくものは服くらいだから、荷造りはたいして大変ではなく、問題なのは気持ちのほうだ。
朝羽さんと事実婚を始めることや、新しい職場に対する不安と、大好きな地元を離れる寂しさは日に日に募ってきてしまう。
このセンチメンタルな気分をどうにか上向きにしたくて、私は真琴に笑顔を作ってみせる。
「でも、月一回は帰ってこいってしろちゃんたちから言われてるから、なるべくそうするつもり。そのときは絶対ここ寄るから」
「当然。朝まで飲み明かすわよ」
ふたりで約束し合っていると、グラスをトンッと置いた兄が、なぜかキリッとした顔になって真琴を見つめる。
「初音がいない間、俺が来てやるから我慢しろよ、真琴」
甘い声を出すイケメン気取りな彼に、若干うっとおしさを滲ませた無表情の真琴がつっこむ。
「シローさんも寂しいからここに来たいんでしょ」
「なぜバレた」
カッコつけたままあっさりと認める兄がおかしくて、私は吹き出した。酔ったしろちゃんはさらにアホになって困る。
私が持っていくものは服くらいだから、荷造りはたいして大変ではなく、問題なのは気持ちのほうだ。
朝羽さんと事実婚を始めることや、新しい職場に対する不安と、大好きな地元を離れる寂しさは日に日に募ってきてしまう。
このセンチメンタルな気分をどうにか上向きにしたくて、私は真琴に笑顔を作ってみせる。
「でも、月一回は帰ってこいってしろちゃんたちから言われてるから、なるべくそうするつもり。そのときは絶対ここ寄るから」
「当然。朝まで飲み明かすわよ」
ふたりで約束し合っていると、グラスをトンッと置いた兄が、なぜかキリッとした顔になって真琴を見つめる。
「初音がいない間、俺が来てやるから我慢しろよ、真琴」
甘い声を出すイケメン気取りな彼に、若干うっとおしさを滲ませた無表情の真琴がつっこむ。
「シローさんも寂しいからここに来たいんでしょ」
「なぜバレた」
カッコつけたままあっさりと認める兄がおかしくて、私は吹き出した。酔ったしろちゃんはさらにアホになって困る。