ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
青山にそびえ立つ高層マンションの三十五階、そこにあるハイグレードな彼の部屋は、スタイリッシュかつ落ち着いた大人の雰囲気だ。

これまで書斎と化していたらしい一室が、私のために綺麗に片づけてくれてあり、ひとまず荷物はそこに置かせてもらっている。

ただ、まだ私のベッドがない。自分でも見て選んだほうがいいだろうということで、今日はそれも買いに行く予定なのだ。

だから昨日は『寝室のベッドを使ってください』と言われ、当然遠慮したものの押し切られてしまい、朝羽さんがリビングのソファで寝ることになってしまった。

申し訳なさと、いやそれ以上に、ベッドに染みついたほのかに甘い彼のセクシーな香りに包まれるドキドキで、しばらく寝つけなかったのは言うまでもない。


おかげで朝は、起きようと思っていた時間を三十分過ぎてしまい、かなり焦った。妻になる身として、一応きちんと朝食も作ろうと思っていたのに、と。

しかし、その焦りは無用だった。なんと、彼がマンションに常駐しているコンシェルジュに頼んでおいたらしく、ホテルのルームサービスのように朝食が届けられたのだから。

高級マンションではこんなサービスまでしてくれるのか!と感動するも、非日常すぎてなんだかいたたまれなかった。

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