ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
今さらながら気づき、朝羽さんのほうを指差そうとしたとき、斜め後方からぐいっと手を引かれた。

よろけて驚いた瞬間、肩を抱かれる形で誰かの腕にぽすっと納まる。


「見つけた」


頭上から落ち着いた声が聞こえ、振り仰いで綺麗な瞳と視線を合わせた私は、ぱっと顔を輝かせた。


「朝羽さん!」


よかった、来てくれて。と、ほっとしたのもつかの間、身体が密着していることに気づいて心拍数が急上昇し始める。

ナチュラルに肩を抱かれてますよ……。守られている感じがして、キュンとしてしまうんですが。

胸を高鳴らせてじっとする私に腕を回したまま、朝羽さんはクールな瞳を男たちに向ける。

ただ見ているだけなのかもしれないけれど、いつもより冷たさと鋭さが増しているような気もする。


「彼女になにか?」

「あ、いえ、なんでも!」


静かな威圧感を湛える彼にギクリとした様子の男ふたりは、口の端を引きつらせてそそくさと去っていった。

なんとも滑稽な……。私なんかに声をかけるくらいだから、よっぽど相手に困っていたのかな。

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