ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
今日は、事実上の夫婦になった日。でも、彼にとってはなんでもないことだろうと思っていたから、面食らってしまった。
特別な日として、プレゼントまでくれようとするその気持ちが嬉しい。
唇に締まりがなくなり、引き留めたい気も治まる。おとなしく「ありがとうございます」とお礼を言い、元の服に着替えることにした。
フィッティングルームのカーテンに手をかけようとしたとき、私たちのやり取りを見ていた女性スタッフが、微笑ましげにこんなことを言う。
「素敵な彼氏さんですね」
「あ……」
そうか、他人が見たらカップルに見えるよね。でも、私たちの関係は恋人ではないし、完璧な夫婦とも言い難い。
“違うんです”と言おうとした瞬間、私より先に朝羽さんが答えた。
「いえ、夫です」
さらりと訂正する彼に、私は目をしばたたかせる。スタッフさんもはっとして、「それは失礼いたしました!」と頭を下げた。
彼女とはこれからも関わるわけではないから、とりあえず否定しておいたっていいのに、朝羽さんは律儀だ。
“夫”という呼称に現実味はまだない。でも、なんだか心強くなる響き。早く胸を張って夫婦だと言えるようになりたい。
朝羽さんと、恋がしたい──。そう、改めて強く感じた。
特別な日として、プレゼントまでくれようとするその気持ちが嬉しい。
唇に締まりがなくなり、引き留めたい気も治まる。おとなしく「ありがとうございます」とお礼を言い、元の服に着替えることにした。
フィッティングルームのカーテンに手をかけようとしたとき、私たちのやり取りを見ていた女性スタッフが、微笑ましげにこんなことを言う。
「素敵な彼氏さんですね」
「あ……」
そうか、他人が見たらカップルに見えるよね。でも、私たちの関係は恋人ではないし、完璧な夫婦とも言い難い。
“違うんです”と言おうとした瞬間、私より先に朝羽さんが答えた。
「いえ、夫です」
さらりと訂正する彼に、私は目をしばたたかせる。スタッフさんもはっとして、「それは失礼いたしました!」と頭を下げた。
彼女とはこれからも関わるわけではないから、とりあえず否定しておいたっていいのに、朝羽さんは律儀だ。
“夫”という呼称に現実味はまだない。でも、なんだか心強くなる響き。早く胸を張って夫婦だと言えるようになりたい。
朝羽さんと、恋がしたい──。そう、改めて強く感じた。