ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
ひとつ増えたショップの袋を持って次に向かったのは、オーガニック野菜を使った料理が人気らしいカフェ。
私も朝羽さんも自然食にこだわりがあるわけではないけれど、なんとなく落ち着けそうな雰囲気が良くて選んでみた。
木を使った店内はナチュラルテイストでほっとする。窓際のテーブル席に向かい合って座り、ひとまず日替わりランチを頼んだ。
お水に口をつけてひと息つくと、私は改めて朝羽さんにお礼を言う。
「職場用の服だけじゃなくて、ワンピースまで買っていただいちゃって、本当にありがとうございました」
「私がそうしたかっただけなので、お気遣いなく」
笑みもなく事務的な口調で言い、彼もグラスを口に運ぶ。その冷たい態度に、私の心にはわずかに不満の芽がにょきっと頭を出す。
当然だけど、まだまだ“他人”の域は超えられないな。急ぐ必要はなくても、一気に距離を縮める方法があるなら誰か教えてほしい。
ぼんやりとそんなことを考えていたとき、なにげなく彼が口を開く。
「このあとはベッドを見に行きましょう。青山通りにインテリアショップが──」
「っ、あの!」
瞬時にあることを閃き、私は言葉を遮った。