ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
そうだ、ひとつあるじゃない。急接近できるかもしれない方法が。

こちらに視線を向ける朝羽さんをまっすぐ見つめ、思い切って宣言する。


「私のベッドはいりません」

「……え?」

「一緒に寝ちゃ、ダメですか?」


大胆な提案に驚いたように、切れ長の瞳が見開かれた。

今の言い方だと、誘っているみたいに思われただろうか。ただ同じベッドを使わせてほしいという意味なんだけど…………あれ、どう言っても誘ってるようにしか聞こえないかな!?

今さらながら、誤解を招いているのではと焦り始め、私は両手の平を彼のほうに向ける。


「けっ、決してヤラシイ意味ではなく! ただ枕を並べて寝るだけ、添い寝です、添い寝」


なんか言い訳っぽくなってるよ……。朝羽さん、ぽかんとして固まっているし。

つい力が入ってしまったため、周りのお客さんに話が聞こえていないかを目で確認してから、気持ちを落ち着けてきちんと説明する。


「私、朝羽さんともっと仲良くなりたいんです。ためらわずに、夫婦だって言えるようになりたいんです」


素直な思いを口にすると、黙って聞いていた彼がなぜかいたずらっぽい目をして、こう付け足す。

< 53 / 273 >

この作品をシェア

pagetop