ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「恋をする努力は私もしたいと思っていますが、どこまで踏み込んでいいものなのか、まだわからないんです。初音さんを大切にしたいから、慎重になる」


朝羽さんの本心がかいま見え、胸が優しく締めつけられた。

私は興味を持たれていないんじゃないかと思っていたけれど、そんなことはなかったらしい。どう近づいたらいいのかと手探り状態なのは、彼も同じだったのだ。

私を大切にしようとしてくれていることを知って、また少し近づけたような気がする。


「でも、女性のあなたにそこまで言わせてしまうようじゃ、男が廃るな」

「そんなこと……！」


朝羽さんが小さなため息を交じらせて自嘲するものだから、私はぶんぶんと首を横に振った。

ただ気持ちが先走った勢いで言ってしまっただけですから、とフォローしようとしたものの、前髪の隙間から力強さを感じる双眼に捉えられて思わず口をつぐむ。


「あなたを求めたくなったら、もう遠慮はしません」


甘い予告に、幾度となく心臓がジャンプする。

これだけでドキドキしているのに、この人に求められるようになったら壊れてしまうんじゃないだろうか。

心配になる反面、いつかそのときが来ることを密かに期待して、私は火照る顔を隠すように俯いた。


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