ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
長めの前髪が斜めに流されたストレートのショートヘア、それがよく似合っているシャープな輪郭と、完璧なバランスの目鼻立ち。

切れ長の瞳からはクールさを、厚みのある唇からはそこはかとない色気を感じる。細身だが逞しさもあるスーツ姿も、文句なしに素敵だ。

それに、霞浦グループの後継者に相応しい品格をすでに備えていることが伝わってくるような、圧倒的なオーラを放っている。

一度写真で見たことがあるものの、実際にお会いすると魅力をひしひしと感じ、思わず引き込まれてしまう。

射るように見つめたまま固まってしまっていた私は、すでに挨拶を済ませた母に小声で呼ばれて我に返り、慌てて座敷に人差し指を合わせるようにして手をついた。


「はじめまして。飛高初音(ひだか はつね)と申します」

「霞浦朝羽と申します。本日はよろしくお願いいたします」


お互いに丁寧な座礼をして顔を上げれば、再び視線が絡まる。

低い声にも優美さがある彼はにこりともせず、かと言って怖さを滲ませているわけではない、綺麗な無表情のまま。冷静沈着という言葉がぴったりハマりそうな人だ。

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