ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
複雑な心境で悩む私に、朝羽さんは突然なんの脈絡もない問いかけをしてくる。


「自分の目標を達成するために、必要なことってなんだかわかる？　努力以外で」


なぜ急にこんなことを聞いてくるんだろう、と私はキョトンとして首をかしげる。


「え、っと……なんだろう」

「イメージすること、だよ」


彼が教えてくれた答えで、そういえばアスリートの人たちやなんかは結果を出すためによくイメトレをしているという話を聞いたことがあるな、と思い出した。

それは納得するけれど、今までの会話になにか関係あるのかな。

いまだに朝羽さんの心理が掴めず頭にハテナマークを浮かべていると、彼は片手をポケットに入れて私に向き直り、じっとこちらを見下ろす。

その瞳には、さっきまでは隠れていた色気をどことなく感じ、胸がざわめく。


「俺たちの目標は愛し合うことだろ。それを達成するためにはイメージするんだ。あなたが俺を、俺があなたを愛していると」


甘さを含んだ言葉とともに、こめかみにかかる少しの髪をそっと除けるようにして頬に触れられ、心臓が大きく揺れ動いた。

< 67 / 273 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop