ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
水岡さんがあっけらかんと笑ってそんなことを言うものだから、大石さんは瞬時に目を細め、「梢（こずえ）ちゃん？」と、じとっとした視線を向けている。

名前は梢さんというらしい彼女……おっとりしていそうに見えて結構言う人なんだ。しかも年上の方に対して。

冗談だとしてもそのフランクな感じがすごいな、と少し驚いていると、水岡さんはふんわりとカールした長い髪を耳にかけ、私に屈託のない笑顔を見せる。


「私たち、今いないメンバーも含めて皆あなたに会うのを楽しみにしてたの。よろしくね、初音さん」


快い歓迎ムードを嬉しく思いつつ、私は「よろしくお願いします！」ともう一度頭を下げた。

すると、私たちのやり取りを見守っていた朝羽さんが、穏やかな笑みを浮かべてこんな補足をする。


「私の妻になる大切な方ですから、あまりいじめないでくださいね」

「朝羽さん……！」


これはさっそく例のイメトレ？　だとしても、やっぱりちょっと照れる。一応私のことを気にかけてくれているようでありがたいけれど。

肩をすくめていると、大石さんはニンマリしつつひょいと手を縦に振って言う。

< 74 / 273 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop