ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「大石さんたちにはすでに説明しましたが、飛高酒蔵の商品はこちらに並べてください。
リカーショップにも少し置かせてもらってありますが、より特別で価値のあるイメージにするために、このホテル独自のショップで大々的に推し出そうと、スペースを広く取りました」

「ありがとうございます!」


ひとつの棚が丸々飛高酒蔵で使えるようにされていて、名前を目立たせた販促物も用意してくれてある。その計らいがありがたくて、私は彼にぺこりと頭を下げた。

どんなディスプレイにしたらいいかをおおまかに教えてもらっている最中、朝羽さんはケースの中に入れられている曇りガラスの瓶をおもむろに手に取る。

父たちが飲みやすさを追求して作り上げた、“清明(せいめい)”という名前の純米吟醸酒だ。


「この清明はこれからの季節にぴったりですし、飲みやすいので女性客をターゲットにしましょう。女性の目を惹き、思わず手に取りたくなるような綺麗なポップも作っていただいたので」

「本当ですね、可愛い!」


販促物の中に紛れていた、紹介文が桜の花びらで囲われたデザインのそれを見せてもらい、私は明るい声を上げた。

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