ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
がっしりとした体型のダンディな二枚目俳優のような霞浦代表に、「どうぞお座りください」と促され、私たちも座布団に移動する。

私の向かい側には朝羽さんがいて緊張はやまないものの、手元に用意された会席料理の数々には目を輝かせてしまう。

料理自体とても美味しそうで、品の良い盛りつけや美しい食器にも心惹かれるのだけど、私をワクワクさせるのは頭の中に浮かぶ日本酒。

この料理にはどんな銘柄が合うかと考えてしまうのは、もはや職業病だ。

皆で食事を始め、美味しい料理に舌鼓を打ちながら思考を飛ばしていると、父が満足げに言う。


「霞浦リゾートはどこも高級感があって、贅沢な気分に浸れますね。このお料理もとても美味しい」

「ありがとうございます。食材や調理法にもこだわっておりますので。初音さんもお口に合いますか?」


きりりとした顔に優しい笑みを浮かべる代表に話を振られ、私は静かに箸を置いて深く頷く。


「はい、とても美味しいです。この和牛のたたきには、淡麗の純米酒が合いそうですね。すっきりとした甘みのある純米酒なら、この牛肉の濃厚な風味や旨みをより楽しめ……」

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