ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜

麗しい笑みを湛えて難なく対応する朝羽さんを、尊敬の眼差しで見つめていると、彼の瞳がこちらに向けられる。


「彼女は日本酒を飲んだことがなく、この機会にぜひ試してみたいそうです。初心者にオススメの日本酒はありますか？」


朝羽さんのおかげでようやく彼女が伝えたかったことを理解した私は、「はい！」と頷き、すぐに棚からひとつの瓶を手に取った。

初心者でも飲みやすいのは、“純米”とつくもの。醸造アルコールが入っていないため、クセがなくとても飲みやすいのだ。

その中でも、フルーツ系の香りと上品な甘みのある純米吟醸酒を選んだ。

さらに、最近流行りのスパークリングも奨めてみる。とても甘くて女性に人気なため、きっと外国のお客様にも気に入ってもらえるはず。

私の説明を朝羽さんが訳して伝えてくれて、ブロンド美女は満足した様子でオススメした二本を持ってレジに向かってくれた。

ほっと胸を撫で下ろし、救世主の彼に向き直って深く頭を下げる。


「朝羽さん、本当にありがとうございました！　緊張してしまって、なにもできなくて……すみませんでした」

「いえ、英会話には慣れが必要ですから」