ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
なにげない調子で口にされたけれど、彼の喜びの源が私から伝染していたものだったとは、結構すごいことだと思う。

……私も、朝羽さんの笑顔を見られるだけで嬉しいんです。幸せなんです。

こういうふうに感じるところから、お互いが大切な存在になっていくのかな。……そうなれたらいいな。

目一杯膨らんだ桜の蕾が開くのを待ちわびるように心を弾ませながら、私は嬉々と笑って日本酒の瓶を手に取る。


「今日は飲みましょう! 明日、朝羽さんはお休みですし」

「あ、あぁ」


急にテンションが高くなる私に少し動揺しつつ、朝羽さんはお猪口を差し出した。お酌をして、今度は彼の話の聞き役に回る。

今日の晩酌はいつも以上に楽しく、お酒も進んで、朝羽さんの魅力的な声や仕草に酔いしれた私は、いつの間にか眠りに落ちていた。



──その日、夢を見た。

愛おしそうに微笑む朝羽さんが、そっと私の髪を撫で、頬に触れて、甘い声で囁くのだ。

『初音……好きだよ』と。

とても、とても幸せな夢だった。




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