伝えられない想いをショコラに託して
今まさに、私がそんな顔を徹さんにさせているのだと思うとせつない。
何か言おうと思うのだが、焦ってうまい言葉が浮かばない。
妙な沈黙が流れたのは、わずかな間だった。
「やっぱり、灯里ちゃんの顔を見て話ができないのは、もどかしいね。これから、灯里ちゃんの部屋へ行くから!」
「えっ!?」
徹さんの爆弾発言に、私は固まる。
「ダメ!て言われても、絶対に行く。今日は、灯里ちゃんの本当の気持ちを聞くまで、ずっと傍にいるから!」
徹さんの言葉に、ドキッと胸が鳴った。
「いや、その前に…僕の想いを、灯里ちゃんに伝えるから。それに応えてくれたら、嬉しいな」
徹さんの甘い声が柔らかく響き、なんだか冷静になれない。
徹さん、そんな事言われると……私、期待しちゃうよ……?
甘い予感に、私はケータイを握りしめた。
END