彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
重いエコバックを持って立ち尽くす。
ありがたい重みだけど、子供扱はやめてほしい。
まぁ、お年寄りから見たらそうなのかもしれないけど・・・
危ないことはするな、か・・・
(そう言われても、気になるよね・・・。)
その思いで方向転換した。
「あの車か・・・」
目標をロックオンする。
近寄ると、セダンという種類の車だとわかった。
ヤンキーがよく乗ってる車。
エコバックを地面に置きながら、どうしたものかと考える。
「俺の車になにしてんだ、お前?」
「え?」
その声で振り返れば、純度100%のヤンキーがいた。
「・・・この車、お兄さんの?」
「だったらなんだよ?あいにく、男は乗せないんだよ。」
「退けてくれませんか?」
「あ?」
「というか、今後一切、ここに駐車はしないでもらえます?」
「ああん!?誰に向かってもの言ってー!?」
そう言いながら、相手は攻撃態勢を取る。
(仕方ない。)
大人げないと思ったけど、私も戦闘態勢で答えた。
「止めるなって言ってんだよ。」
ヒュンヒュン!ビシッ!
「うっ!?」
折り畳み式のトンファーを相手の首につきつける。
「なっ・・・!?」
「駐車料金も払わねぇで・・・誰に向かって、吠えてんだ?」
ヤンキーモードでガンを飛ばせば、トンファーと私を交互に見た後で男が言った。
「も・・・しかして・・・凛道、蓮・・・?」
「そうですけど?」
みけんにしわを寄せながら答えれば、相手の表情が変わる。
「ま、まじで!?あの『龍星軍』の凛道さん!?」
「信用できないなら、カンナさんか可児君でも呼ぼうか?」
「え!?いや、とんでもないっす!あの鬼姫と可児をなんて~!」
「じゃあ、二度とここに駐車するな。周りが迷惑してんのは、お前も知ってるよな?」
「え!?あのババア・・・いや、おばあさんとお知り合いで・・・?」
「なんだその言い方は・・・?テメー俺の知り合いじゃなかったら、フザけた真似していいって確認をとってんのか!?」
自分でも感じが悪いと思いながら乱暴に聞けば、ひっ!と叫んでから首を横にふる男。