彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
成り行きで引き受けた子供パトロール。
瑞希お兄ちゃんとの時間を削られたことを恨めしく思いつつも、活動日を迎えてしまった。
「ということで~臨時で、入隊するチョコちゃん達だ!」
「よ、よろしくおねがいします。」
「おお~!いいぞ!」
「待っとったぞ!」
「可愛いのぉ~!」
好意的な拍手と歓声で迎えられる。
見る限り、参加者の平均年齢は60代後半だろう。
「いや~若い人が入ってくれて助かるよ。」
「わからないことがあれば、何でも聞いてくれ。」
「頼りにしてしてるぞ。」
「あ、はい。こちらこそ・・・。」
近くにいたおじさん達が声をかけてくれる。
これじゃあまるで、お年寄りとの交流会・・・。
(ラブイベントと離れてしまったような・・・)
〔★脱線している★〕
あいさつが済んだところで、会長さんは言った。
「じゃあ、チョコちゃん。一緒にまわろうか?」
「はい。」
「あ、俺も!」
「サナちゃんも?付き添いじゃないのか?」
「いや~俺らも、こいつと一緒に参加できる時に参加したいんで。」
「「「「そうなんです。」」」」
そう言って、私の背後から顔を出す瑞希お兄ちゃんと、その他4人の先輩達。
私のパトロールの様子が気になるのか、面白がっているのかは知らないけど、先輩達全員がついてきた。
〔★凛への過保護が発動した★〕
そんな私達を見て、会長さんが困った顔をする。
「気持ちはわかるが、バランスよく割り振りたいんだ。チョコちゃんに付き添うなら、1人―――――」
「俺が!!今日は俺がチョコに付き添います!」
会長さんの言葉を遮りながら、素早く私を抱きしめる瑞希お兄ちゃん。
「お、お兄ちゃん!?」
「いいよな!?」
「は、はい!」
強引に口説かれ・・・言われて、思わず首を縦に振っちゃう。
「じゃあ、サナちゃんで決まりだな!」
(やったぁ♪)
お兄ちゃんになったことで、内心ホッとする。
会える時間が削れると心配したけど、これなら満足だわ。
「あー油断した。すげー俊敏だった。」
「早い者勝ちってやつぅ~?ずるいわぁ~」
「チッ!」
「わはははは!」
〔★一部は不満そうだ★〕
「頑張ろうな、凛!」
「はい!もちろんですよ、瑞希お兄ちゃん!」
さわやかな笑顔を向けられ、やる気が出る。
人生初めてのパトロール活動が始まった。