彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
返事に困る私に、母親は必死に訴える。
「相手は、闇金なんです!ヤクザみたいなんです!」
「でしたら、未成年の僕ではなく、資格を持ってる弁護士さんに相談してください。」
「弁護士の知り合いはないんです!探すにも、今日やってきて、今すぐ返せって脅されて!」
「脅してるなら、警察に通報した方が・・・」
「ここに来る前に通報しました!でも警察は、民事には介入してくれないんですよ!」
(また民事不介入なの!?勘弁してよっ!)
聞き飽きた言葉に頭痛を覚える。
「警察がダメなら、凛道蓮さんしかいないと聞いたんです!お願いします!!」
そう言われ、ますます頭が痛くなる。
無視できないからこそ、参ってしまう。
「獅子島さん・・・」
「普通の民間人の俺に言うな。」
「民間人?」
完全無視の人の言葉を聞き返す。
(この人が普通の民間人って・・・全然違うじゃん。)
もしかして、馬をなごますために冗談を言ってるのかな?
笑い飛ばした方が良いのかな?
そう思ったら殺気を感じた。
「何か言いたそうだな・・・!?」
「ひっ!?そ、そんなことは・・・」
ニラむ先輩を見て、冗談で言ったんじゃないと知る。
〔★ギャグではなかった★〕
「俺が一般人と言うのは、おかしいのか?凛道・・・!?」
「お、おかしくありません!獅子島さん、超エリートじゃないですか!?むしろ、一般人以上のレベルなので~」
「フン、まぁいい。」
笑顔で誤魔化せば、ため息をつきながら獅子島さんは母親に言った。
「川原さんとおっしゃいましたか?相談をするのでしたら、本人を来させるべきでしょう?話は、息子さんを連れてきてからです。」
「そうです!息子さんはどちらですか?」
「そ、それが・・・・外に・・・・!」
「じゃあ、呼べますね。連れてきてください。」
「・・・・無理なんです。」
「え?無理って・・・」
「なぜです?」
私達の問いに、うつむきながら母親は言った。
「そ、外の・・・闇金の車の中にいるから、連れてこれないんですよ!!」
「ええ!?」
慌ててお店の外を見れば、黒塗りのベンツが止まっていた。
凝視すれば、後部座席の窓から、必死でこちらを見ている若者がいた。
〔★生々しい修羅場だ★〕