彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



会長さんから転送してもらった画像を見る。



(家出少女か・・・・)



MESSIAHの件があるので、どうしても連想してしまう。



(MESSIAHにつかまってないといいけど・・・)



携帯をポケットにしまい、愛しい人が待つ屋台へと帰還する。



「ただいま、瑞希お兄ちゃん。」

「凛、おかえり!」



私が戻った時、彼は椅子に座っていた。

お客さんが途切れて、やっと落ち着いたようだった。



「モニカちゃんは?」

「両替に行ってる。」

「烈司さんは?」

「休憩に行かせた。麦茶飲むか?」

「うん。」



ペットボトルのお茶の口を開けると、そこにストローをさして渡してくれる瑞希お兄ちゃん。

彼の優しさごと受け取とりつつ、水分補給をしながら聞いた。



「瑞希お兄ちゃん、家出した子はどこに行くのでしょうか?」

「なんだ、急に?」

「いえ、どこに行くのかと思って。」

「家以外の場所だろう?」

「・・・それもそうですね。」

「てか、俺に聞くか?凛は経験者じゃねぇか?」

「それはそうですが・・・」



家出はしたけど、状況が違う。



「僕は9歳で家出をしましたが・・・それが14歳の中学生だったらどうでしょう?」

「あん?14歳??」

「9歳と14歳、5年の差は大きいと思うんですよ。最近の中学生は大人っぽいし。」

「そりゃあ、小学生と中学生は違うが・・・中坊ぐらいなら、あてがあれば、親戚やダチの家に行くんじゃねぇか?」

「知り合いのいない場所だったら、どうなんでしょう?未成年だから、ホテルには泊まれないはず・・・」

「そうだな・・・カラオケやネカファなら泊まれるじゃないか?」

「でも、カラオケボックスもネットカフェも、夜は未成年が泊まれませんよ?」

「だから、昼間に寝て、夜は起きとくようにするだろう。」

「そうきますか!?」

「そうだな。例えば・・・県外に出た家出っ子をカラオケやネカフェや探すなら、本人が地元でどの店に行っていたか調べといた方が楽だぞ。」

「なぜです?」

「全国チェーンの店なら、地元でカード作ってたら、他の県でも使えるじゃねぇか?作る手間も省ける。」

「なるほど!しぼりこんで探せますね!?」

「金があるうちは、そういう場所にいるだろうが・・・」

「なくなったら、帰るしかないですよね。」

「凛なら、帰るのか?」

「すみません。やっぱり帰らないかもしれません。」

「だよな~」



私の言葉に、苦笑いする瑞希お兄ちゃん。




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