彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



「そん時は俺のところに来いよ、凛。」

「え!?いいんですか!?」

「そのために、うちに凛の部屋があるんだろう?」

「お兄ちゃん・・・!」

「間違っても、『神待ちスポット』には行くなよ。」

「神待ち??」



初めて聞く言葉。

私の反応を見て、お兄ちゃんは説明してくれた。



「『神待ちスポット』っていうのは、家出した子供を、ただで泊めてくれる相手と出会える場所のことだよ。」

「お金いらないんですか!?」

「金がない奴からしたら、神様なんだろう?」

「だから『神様』、ですか・・・?」

「そういうこと。つーても、ボランティアでやってるわけじゃねぇから性質悪いけど。」

「・・・やっぱり『裏』があるんですね?」

「凛もわかってきたか?」

「ええ、まぁ・・・」


わかるよ。

だって、話が上手すぎるもん。



〔★凛も学習している★〕



どんな落とし穴があるのかと思っていたら、予想以上に過激な言葉が瑞希お兄ちゃんの口から出た。



「問題なのは、泊めてもらう代わりに肉体関係を結ばなきゃダメってことだ。つまり、売春だな。」

「売春!?」

「援助交際とも言えるな。タダより怖い物はないってよく言うだろう?」

「確かに・・・」



それで関西男子が頭に浮かぶ。



「ヤマト、大丈夫でしょうか・・・?」

「烈司が言うには、3年後に引っ越せば平気らしい。本人にも念押ししといてくれ。」

「了解です。」



ヤマトの場合、しつこいぐらい言わなきゃダメよね。

手がかかるけどにくめないわ。



〔★それも友情だ★〕



(それにしても・・・)

「売春するほど・・・家に帰りたくないんでしょうか?」

「凛ならどうする?」

「嫌ですよ!好きな人以外と、そういうことをするのは嫌です!神待ちを利用しない手段を探します!」

「それができない奴が、『神待ち』するわけだ。」



瑞希お兄ちゃんの言葉に、何とも言えない気分になる。



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