彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



(もし私が、瑞希お兄ちゃんと出会っていなかったら・・・?)



神待ちをしていた?

いやいやいや。

さすがに、体を売るとかできないよ!

出来ないけど・・・



(一歩間違えば、私もそうなっていたのかな・・・?)



想像して、怖くなったので、やめた。

別のことをやめよう、売春とは関係ないことを!

売春と―――――――・・・・



(MESSIAHが家出少女を使うのって、そういう意味があるのかしら?)



帰れない。

帰る場所がない。

頼れる人がいないとなれば・・・



(危ないな、MESSIAH・・・・・)



「凛。」

「はい?」

「まさかMESSIAHの件で動いてるのか?」

「え!?な、なんですか、急に!?」

「動いてるのか?」

「い、いえ・・・」



返事に困れば強い口調で言われた。



「首ツッコむな。あれはこっちで処理する。」

「はい・・・」



有無を言わさぬ圧力に、瑞希お兄ちゃんの本気が伝わる。



「僕、ゴミ捨てしてきます。」

「・・・頼むわ。」



居たたまれなくなり、お手伝いをする振りをして逃げる。



(するどいな、お兄ちゃん・・・)



私の考えを、あてちゃうなんて。



(瑞希お兄ちゃん、なずなちゃんのこと知ってるのかな?)



みさきさんは、お兄ちゃんのお店に行ったと言っていた。

話をしている可能性はあるけど・・・



「ん?」



ふと、視線を感じる。

ゴミを指定された場所に置きながら気配を探る。



(だれか、私の近くにいる?)



悟られないように自然な動作で振り返る。

目の前に男が立っていた。



「わっ!?」

「っ!?」




思わず叫んだ私に、相手もビクッと身体を震わせる。



〔★闇夜の遭遇、両方驚いた★〕



(だ、誰!?)



暗闇で目を凝らせるがわからない。



「あ・・・・」



相手はそうつぶやくと、私の方へと近づいてくる。



(この場合、蹴りで攻撃するべきか、こぶしで攻撃するべきか・・・)



戦い方を選択してながら問いかける。



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