彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「失礼します。」
声をかけて中に入る。
部屋にいたのは4人。
1人は塾長先生で、机の側に立っている。
その机には、スーツを着た2人の男性が並んで座っていた。
机を挟んで、彼らと向かい合う形で座っているのが・・・
(あれ?)
あの子だった。
(坂口さんに薬を返した時に、声をかけてきた子だ!)
私の視線に気づき、相手も目で合図してくる。
「菅原凛さんですか?」
女の子の前に座っていたスーツ姿の男性のうち、メガネをかけている若い男性が私の名前を呼ぶ。
「そうですが・・・どちら様ですか?」
「失礼しました。警察です。」
「え!?」
そう言いながら、警察手帳を見せながら立ち上がる2人組。
「山本です。」
「部下の杉本です。」
(警察!?)
警察が何で??
(私が凛道蓮だとバレた!?)
〔★凛の鼓動が早くなった★〕
動揺して固まっていれば、赤井先生が私に話しかける。
「菅原さん、座って。」
「は・・・はい。」
連れてこられた先生にうながされ、女の子の隣に腰を下ろす。
それで刑事2人も腰を下ろした。
「そろったので、はじめましょう。」
年配の山本という警官が口火を切った。
何を言われるのかと冷や冷やしていたら、年配の警官は言った。
「菅原さん、有森さん、君達を呼んだのは聞きたいことがあったからです。」
(聞きたいことって・・・私が凛道蓮かということかっ!?)
いや!だったら、なぜ、有森さんを呼んだ!?
まさか―――――こいつ、私が凛道蓮になる姿を目撃したのか!?
証人なのか!?
くそ!警察の前じゃ、口封じができない!
困るよっ!
(私まだ、瑞希お兄ちゃんに告白してないんだよ!?)
〔★凛は混乱している★〕
内心ガタブルの私に、年配の刑事さんが言った。
「実は、坂口レイさんが行方不明なんです。」
「え!?」
(私のことじゃない!?よかったぁ~!!)
バレてなかったことにホッとしたけど、冷静に考えれば、ホッとできる話題じゃない。
(行方不明って・・・)
薬を返してからいなくなったから・・・それってヤバくない?
〔★悪い可能性しかない★〕