彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



「失礼します。」



声をかけて中に入る。

部屋にいたのは4人。

1人は塾長先生で、机の側に立っている。

その机には、スーツを着た2人の男性が並んで座っていた。

机を挟んで、彼らと向かい合う形で座っているのが・・・



(あれ?)



あの子だった。




(坂口さんに薬を返した時に、声をかけてきた子だ!)



私の視線に気づき、相手も目で合図してくる。



「菅原凛さんですか?」



女の子の前に座っていたスーツ姿の男性のうち、メガネをかけている若い男性が私の名前を呼ぶ。



「そうですが・・・どちら様ですか?」

「失礼しました。警察です。」

「え!?」



そう言いながら、警察手帳を見せながら立ち上がる2人組。



「山本です。」

「部下の杉本です。」



(警察!?)


警察が何で??



(私が凛道蓮だとバレた!?)



〔★凛の鼓動が早くなった★〕



動揺して固まっていれば、赤井先生が私に話しかける。



「菅原さん、座って。」

「は・・・はい。」



連れてこられた先生にうながされ、女の子の隣に腰を下ろす。

それで刑事2人も腰を下ろした。



「そろったので、はじめましょう。」



年配の山本という警官が口火を切った。

何を言われるのかと冷や冷やしていたら、年配の警官は言った。



「菅原さん、有森さん、君達を呼んだのは聞きたいことがあったからです。」


(聞きたいことって・・・私が凛道蓮かということかっ!?)


いや!だったら、なぜ、有森さんを呼んだ!?

まさか―――――こいつ、私が凛道蓮になる姿を目撃したのか!?

証人なのか!?

くそ!警察の前じゃ、口封じができない!

困るよっ!



(私まだ、瑞希お兄ちゃんに告白してないんだよ!?)



〔★凛は混乱している★〕



内心ガタブルの私に、年配の刑事さんが言った。



「実は、坂口レイさんが行方不明なんです。」

「え!?」

(私のことじゃない!?よかったぁ~!!)



バレてなかったことにホッとしたけど、冷静に考えれば、ホッとできる話題じゃない。



(行方不明って・・・)



薬を返してからいなくなったから・・・それってヤバくない?



〔★悪い可能性しかない★〕



< 248 / 534 >

この作品をシェア

pagetop