彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



「・・・行った?」

「い、行きましたが・・・」



どっちについて聞いたかわからない。

でも、どちらもいなくなったのは確か。

そんな私の言葉に合わせて、瑞希お兄ちゃんは離れてくれた。



「なんだったんですか・・・?」

「さっき車から降りてきた男女を・・・女の子の方は見た?」

「見ましたが・・・なにか?」

「どう思う?」

「どうと言われましても・・・じっくり見たわけではありませんし・・・年は、僕と同じぐらいかとは思いましたが?」

「ええ、間違いなく未成年だわ。」

「こんな時間に出歩くなんて・・・でも、お父さんと、保護者同伴なら問題ないですね。」

「あなた、本気であの2人組が親子だと思ってるの?」

「え?」



瑞希お兄ちゃんの言葉にハッとする。



(親子じゃないの?)



「違うんですか?」



その答えを、美しい人は語ってくれた。



「違うわ。お金でお体を、買う側と買われる側よ。」

「なっ・・・!?」



(親子じゃない!?)



そう聞いて、男女がいた場所を見るがいるはずもなく・・・。



同時に、気づかされた。



「あれって売春現場だったんですか!?」

「そうね。未成年のスタッフとお客を、ホテルに送迎したところだったみたい。」

「なんでわかるんですか!?」



聞いた瞬間、ハッとする。



(瑞希お兄ちゃんは、MESSIAHの件は俺達に任せろと言った・・・)



女装してるのも、MESSIAHの動きを調べるためだから―――――!?



(あの男女、MESSIAHが絡んでる売春!?)



「大変だ・・・!」



そうとわかれば、見過ごすわけにはいかない。



「僕、追いかけます!」

「無駄よ!おやめなさい。」



そちらに向かおうとして止められる。



「ミ・・・・ミクお姉さん!?」



女装した瑞希お兄ちゃんに。



「なぜ、止めるんです!?今なら間に合いますよ!助けてきます!」

「その子『1人だけ』助けるなら、それでもいいわ。」

「え?」



(その言葉、渡瀬さんと同じセリフ―――――!?)



思わず相手を見れば、私を見据えながら告げる。



「みんなを助けたいなら、今は耐える時よ。気持ちはわかるけどね。」

「・・・ミクお姉さん・・・」



そう言うと、私の肩を抱く女装お兄さん。



「私も今夜は、探りを入れる程度だから・・・帰りなさい。」

「危険ですよ!1人なんて・・・僕も手伝いますよ!」

「ダメよ。」



強い口調できれいな人は言った。



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