彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「あなたみたいな子供に手伝ってもらうほど、お姉さんは困ってないの。」
「でも!」
「今度こそ、タクシー乗り場まで送るから。」
「いやです!お手伝いさせてください!会長さんからも頼まれてるんです。」
「大原さんのこと?だったら、私が話をつけるわ。帰りなさい。関わらないで。」
そう言うなり、私を強引に引っ張るミクお姉さん。
「なぜです!?僕が信用できないんですか!?」
必死に言葉と態度で抵抗するけど―――――
「信用出来るからって、危険に巻き込んでいいということじゃないわ。私はプロなんだから、お姉さんに任せなさい、坊や。」
冷たく突き放される。
「ですが・・・あなたが・・・!」
(男性の時でさえ、変な奴(田渕)にモテてたのに、こんなきれいな女性に変装した今、危険が増加しないはずが――――――――――ない!!!)
「私が何?」
「あなたが心配なんです!」
「その気持ちは嬉しいけど、あなたと違って私は場数を踏んでいるわ。」
「それでも、何が起こるかわかりません!もし、あなたが敵に変なことをされちゃったら――――――――!」
「―――――――――変なことすんなっ!!」
ザッバーン!
私の声を遮る罵声と音。
「うわっ!?」
「ええ!?」
頬にかかるしぶき。
(な、なにが起きたの!?)
「こっちだ!」
「わ!?」
理解する前に、驚く私の体を瑞希お兄ちゃんから引き離す手。
「あ、あなたは・・・!?」
「逃げるぞっ!」
「丸山さん!!?」
俊敏な動きで私の体を抱えると、全力ダッシュするホームレスさん。
「わあー!?」
それでゆさぶられる私。
「なにしやが・・・するのよー!!?」
背後では、怒鳴りあげる瑞希お兄ちゃんの声がした。
ゆれる視界で私が見たのは、水もしたたる良い女。
瑞希お兄ちゃんに対してなんて無礼を!と思う一方で、水でぬれた好きな人の女装姿を見れてラッキー!!と思った。
(瑞希お兄ちゃんのこんなレアシーンを見れるなんて!!)
〔★瑞希への被害、凛は喜んでいる★〕