彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「まるちゃん、それぐらいにしておけよ。」
ガミガミ怒る丸山さんに、見かねた他のホームレスの人達が言う。
「坊主も、やんちゃしてるからって油断するなよ。そんな見た目じゃ襲われるわ。」
「はははは!マジで、暴走族してるのか?」
「え?僕を知ってるんですか?」
「まるちゃんを助けてくれたんだろう?」
私の問いに、メガネをかけていたおじさんが言う。
「俺らの中じゃ、若手だからな。まるちゃんは。」
「お友達ですか、丸山さん?」
「先輩方だよ・・・」
ボリボリと頭をかきながら丸山さんは言った。
そう答えた時、声は元の小さいトーンに戻っていた。
「この町で長く野生で生きてる人達だ。」
野生・・・
(つまり、ベテランホームレスですか・・・)
〔★サバイバルの達人達だ★〕
「そうでしたか。ご挨拶が遅れましたが、僕は凛道蓮といいます。あだ名はチョコです。よろしくお願いします。」
「ははは!ホント、礼儀正しいなー?」
「可愛いな~どうして、あだ名がチョコなんだい?」
「ちょこちょこ動くらしいからです。」
「動きすぎだけどな・・・」
ぶっきらぼうに丸山さんが言えば、周りの大人達は笑いだす。
「ははは!子供は動き回るものだろう!」
「チョコちゃんと呼べばいいか?ホント、可愛いなぁー?」
「俺らが見てるヤンキーとは違うな。不良らしくないな?」
「よく言われます。」
おじさん達の発言を、笑顔で流してから話題を変えた。
「ところで、この子を知りませんか?」
切り替えた携帯画面を見せながら聞く。
それでいっせいにのぞき込んでくる野生の大人達。
「どうですか?」
「前に聞いてきた家出少女か?」
私の問いに、最初に答えたのは丸山さんだった。